詩集「 夢音 muon 」より 3.
2009年 03月 06日
「忘れる、思い出す」
忘れるという能力が
与えられているから
人は前へ歩むことができる
忘れてならないことまでも
忘れてしまう
捻れはあるものの
つらさの砂に
埋もれてしまわずに済む
思い出すという能力が
与えられているから
人は乾かないでいられる
離そうとしても離れられない思い出までが
まとわりつくという
翳りはあるものの
心のささえや
なぐさめを抱いて生きられる
「・・・・が希薄に」
歳を重ねるということは
意思というもので
自分がうごいているつもりでも
多くは
何かにうごかされていると
気がつくこと?
うかつに見過ごしてきたものばかりだったと
気がつくこと?
虹の色が
しだいにしだいに
薄くなり
やがて
視界から消え去るように
強烈な出来事や
濃い思い出も
いつのまにか
色あせていく
茫漠と
・・・・が希薄に
なっていくこと
by kimiko「夢音」
■ 作者 / かみのそのきみこ
■ 装丁 /かねこしんぞう
■ 画 / 金子ともこ
☆「 夢音 muon 」出版記念 詩と画のコラボ二人展
2008年5月、福岡のBBB・POTTERSギャラリーで開催しました。
2009.3.6 by イラストレータ− 金子ともこ
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by bonjour-tomoko
| 2009-03-06 11:46
| 詩集「 夢音 muon 」