西日本新聞連載随筆の 挿絵・第10回目(最終章)
2022年 02月 23日
食べる本、読む料理」は、50回でついに最終回を迎えました。
タイトル:この世の「最高の食事」。
今回は最終章の挿絵です。
川野里子さんのエッセイは、こう始まっています。
『「食事」という言葉にはちょっとあらたまった響きがある。
同じような言葉でも「ご飯」には温かみがあり、「腹ごしらえ」には必要を充たす簡素さがあり、
「飲み食い」には猥雑な賑わいがある。「食事」という言葉には、それらとは別の特別な何かがあるように感じられる
・・・・・・・・・
またわたしはこんな想像をする。
もし、この地球でわたしたち人間が滅ぶ日が来て、
最後に残ったのが栃の実一個ほどの団子だったとしたら、と。
わたしたちはその団子を奪い合うだろうか、盗もうとするだろうか、
誰が食べるべきかを議論するだろうか、それとも皆でその団子を
ほんの少しづつ分け合うだろうか。』
・・・・・・・・・
今私は、こんな問いかけで終わった50話のエッセーの余韻に浸っています。
最初の、川野さんからの挿絵のご依頼は、
『金子さんの感じるまま自由に「ユーモアと毒」のあるイラストを描いて欲しい。
文章とズレた表現で化学反応を楽しみにしています。』
私はこのような言葉にワクワクしながら、最後まで挿絵を描かせていただきました。
第1回目挿絵は、本の中の美味しそうな食べ物を、食べたくても食べられない悔しさに、
ヨダレを垂らす、女の子( 川野さんの子供の頃のイメージ )と猫。
ここからお話が、始まりました。
今回最後の挿絵は、女の子と猫は、もう本の中の「レストラン」に入ってしまったのでした。📗
宮沢賢治の「注文の多い料理店」のイメージが、私の中に重なっていました。
最後まで読んでお付き合いくださった読者の皆様、
本当にありがとうございました。
おわり




2022.2.23 by イラストレータ- 金子ともこ